ジャスミン
『美香は何も悪くないよ。私が何も分かってなかったの、自業自得なんだから。』

『もうバカなんだからっ!どっちにしても、これからは二人きりになっちゃダメだよ。』

『うん、分かったよ。』

『じゃあ、早く準備しちゃお!今日も颯太郎さんのとこ行くんでしょ~?全くいつのまにやら~。』

『あ、あのね…』

『はいは~い、ノロケ話は行く途中にでもしっかり聞きますぅ。』

美香には、全てお見通しなのだろう。嬉しいやら、恥ずかしいやら微妙な気持ちで準備をした。


途中でいつもよく立ち寄るカフェで、アイスティーとベーグルサンドで朝食をとる。

『そういえば、茉莉ちゃん、夏のショーのデザインどうなの?』

美香の問いかけに、自分にはもう一つ大問題が残っていたことを思い出す。

『あー、あれね、ダメだって。最初から練り直し!』

『そうなんだぁ。じゃあ、またしばらく忙しそうだね。』

『うーん、かなり煮詰まってるけどねぇ。』

『気晴らしも大切だよっ!』

『…気晴らしかぁー。』


美香の例のウインクに圧倒されつつ、それぞれの戦場があるビルへと向かうのだったー。
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