ジャスミン
(心配かけたくない。大丈夫。頑張れっ私!)

ギュッと目を閉じると自分だけの魔法の言葉をかけると再び駅に向かって歩き始めた。


最寄りの駅から自宅までの道のりは時間も遅いこともあり、歩いている人もほとんどいない。

少し気味悪く感じるものの、自宅マンションの街灯の明るさに胸を撫で下ろす。


『…っ!!』

その街灯に寄り掛かり、携帯を弄る人影に言葉が出ない。

その人物は、茉莉の姿を確認すると携帯をポケットにしまい、こちらに近づいてくる。

『おかえり、茉莉。待ってたよ。』

『な、何で…?』

震える唇を何とか動かし言葉を吐き出す。

『言っただろ?話があるって。』

茉莉が何も言わないことを了承と捉えたのか健司が話し出した。

『噂で聞いたかもしれないが、海外進出することになった。国はフランスだ。俺が現地で色々な調整をすることになったんだ。期間は未定だ。軌道に乗るまではいることになると思う。』

『フランス…。』

『一緒に行かないか?』
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