ジャスミン
健司の姿が見えなくなると、目の前で泣きじゃくっている親友が私に抱きついてくる。

背中からも抱きしめられているのだから、かなり可笑しなことになっている。

『もぉ~!バカっ!心配したんだからぁ。』

『…ごめんね、美香。』

『俺もいるんだけど…。』

『颯太郎さんは空気よんで離れるとこでしょ!…まりぃ~。』

『は?何でだよ!』

何とも言えないやり取りに、苦笑いを浮かべながら一番冷静であろう大樹に疑問を投げかける。

『どうしてここに?』

車のボンネットにもたれかかりながら事の次第を見届けていた大樹は茉莉の疑問に首を傾げながら答えた。

『うーん…愛と友情のちからかな?』


『もともとさー、金曜日だし、少し遠出でお泊まりでもって俺と美香りんは車を走らせてたの。
そしたら、颯太郎がすごい切羽詰まった声で電話してきて、それ聞いた美香りんが「颯太郎さん乗せて今すぐ向かって~!」って。
車ん中の二人の様子見せてあげたかったよ。』

『うん、ホント怖かった…。』と大樹は思い出しながら、ボソッと呟く。
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