ジャスミン
(…こいつ、どれだけ俺を煽るつもりだ?わざと?天然ならマジで質が悪い。)

茉莉は颯太郎の気持ちを知ってか知らずか『女子力高っ!』と目をキラキラ輝かせている。


『なんだよ、それ。』と苦笑いを浮かべると注いだばかりのカフェオレを渡すと、自分もブラックコーヒーを注ぎ、席に座った。


『いっただきまーす。』律儀に手を合わせると、『美味しいっ。』とカフェオレを本当に美味しそうに飲んでいる。

(…カフェオレで正解だったみたいだな。)

颯太郎は見た目はクールな女だが、実際は違うのでは?と昨日からの茉莉と過ごした時間で感じていた。

何となく確信を持った今となってはクールな女には全く見えず、無邪気な可愛い女性というイメージに変わっていた。


茉莉も疑問に感じたのだろう。
『でも何でカフェオレにしたの?』と不思議そうに頭を傾げている。

『何となくそっちの方が好きそうな気がしたんだ。』

颯太郎は曖昧に答え、カップに口をつけた。

茉莉は分かったような分からないような顔をしながらも頬を緩めて美味しそうにカフェオレを飲んでいる。

お互いに無言だが、昨日のような居心地の悪さは感じない。


ゆったりと少し遅いブレックファーストが進んでいくー。
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