ジャスミン
朝食を終え、片付けようとすると、自分がやると譲らない彼女に半ばおしきられる形で任せた。

手際よく洗っていく茉莉の後ろ姿に見とれてしまっていた。

(…こういうのも悪くないのかもな。)


片付け終わると茉莉は洗面所で髪を整えたり、帰り支度の為か寝室へと消えていった。

颯太郎は手持ちぶさたになり、ソファに座りとりあえず新聞を手に取る。
しかし、内容は全く入ってくる訳もなく寝室にいる彼女のことばかり気にしてしまう。


(…もう、帰るってことだよな。)

モヤモヤした気持ちを抱えながら颯太郎は新聞に目を通す。

ドアが開き、茉莉がリビングに入って来たのが分かる。

颯太郎が振り返り、茉莉と目を合わせると慌てた様に頭を下げて

『あ、あの！昨日から色々とご迷惑おかけしました。』

必死な茉莉の様子を見て颯太郎も素直に思っていたことを伝えた。

『でも、本当にありがとうございました！このお礼はまた後日させてください。』

茉莉の口から次へと繋がる約束が出たことに自然と笑みがこぼれた。


茉莉はそのまま頭を下げると、玄関に向かって歩き出したー。
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