ジャスミン
もっと一緒にいたいー。

気づいたら『送っていこうか?』と口に出していた。

茉莉の遠慮の言葉で我に返り、ぎこちないながらも玄関で彼女を見送ったー。


バタンッ。
茉莉の姿が消え、無機質なドアの閉まる音が部屋に響く。


颯太郎はリビングに戻り、ソファに座り息を吐く。


昨日の夕方から始まったこのジェットコースターのような一連の出来事に正直混乱している。

(…女なんて、もう信じないはずだったのにな。)

自分の決意を意図も簡単に覆す倉田茉莉の存在を認めるべきか、いやもうすでに十分振り回されている自分に自嘲の笑みがこぼれる。

(…あ、昨日の夜の出来事説明するの忘れてた。)

今頃、茉莉は勘違いしてるかもしれない。


(まぁ、俺も頑張ったんだし、これくらいの意地悪許されるよな。)

茉莉の混乱している様子を想像して笑みが自然と込み上げてくる颯太郎だったー。
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