お見合いの達人
「ごほっ!タ、タバコも禁止っここは禁煙なのっ!!消しなさいよ」
「うん判った」
藤吾が素直にポケットから携帯灰皿を出して急きゅっと消してポケットにしまった。
その仕草を見て、こいつ案外常識あるんじゃないなどと感心してしまった。
待って待って、そこじゃない。
この気ままな男に振り回されちゃだめじゃない。
「鍵!」
私の差し出した手に、
「ん」
チャリンとかわいらしい音をさせて鍵が置かれた。
不動産屋さんから預かったママの無機質なタグははずされて、
くまの形のキーホルダーがつけられていた。
「これ?」
「そこのゲーセンで取ったんだ。
なんかさ奈留に似てんだろ?」
「に、似てないわよっ」
キーホルダーについてるたれ目くまは、最近JKに人気らしいキャラクターだ。
似てるのはたれ目ってとこだけだろう。
ふざけんなって言いたいところだけど、
そう思いながら鍵につけてる藤吾が妙に可愛くて、
思わず口元がゆるんでしまう。
「全くあんたは」
藤吾は私の前にの前に膝まづくように座ると、
私の靴に手を掛けて、
「ほら踵あげて?
靴、床汚れるでしょ?」
「あ、うん」
踵を上げるとするっと靴を脱がせた。
「こっちも」
藤吾の言われるがままに動かされ靴と共にさっきもでの怒りも勢いも引き剥がされて、
玄関に靴をそっと並べる後ろ姿を呆然と見つめてた。
藤吾はそのままこっちを振り向かないまま、
「あの人と付き合うんだ?」
とぽつりとつぶやいた。
「え?」