お見合いの達人
「あんた馬鹿じゃね?」

「は?」

その男は、

駅で時刻表を見上げながら、

電車の時間を確認していた私の肩を

グイッと乱暴に引っ張った。

「ええと、弟さんの方?」

「藤吾」

「あ、藤吾さん」

「おお、ってちげーよ、

 何やってるんだよ、こんな時間まで

 あの後すぐ帰るだろう、普通。」

「そうですかね?」

「兄貴は隠せない人だから、全部話したんだろうし、

 そんな条件でいいなんてまさか思ってはいないだろ?」

「条件?」

「結婚は形式だけ、

 別に一緒に暮らさなくてもいいし、

 愛情とか子どもとか望まないでくれって話。」

「そこまでは聞いてないです。」

「じゃあ今聞いたんだから、もうこれでこの話は終わりってことでな。」

「……」

「なんだよ」

「なんであなたはそんなに怒ってるのかと思って。

 お兄さんのことでなんでそんなムキになるのかな?」








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