佐藤さんは甘くないっ!
糖度70%

会える時間≠愛の深さ



自分に想いを寄せてくれているひとの家に泊まり、同じベッドで眠る。


さすがにわたしでもその意味くらい解る。


解っていたくせに、その引き金を引いたのは自分だ。


ひとりで眠るより幸せだということをわたしは知ってしまった。


隣で眠るのはわたしの上司であり、仮の恋人。



「…………夢みたい」



だけどこれは紛れもない現実だ。


わたしは佐藤さんを起こさないようにそっとベッドを抜け出して、寝室から出た。


下ろしたてのスリッパが、不自然なくらいぺたぺたと鳴った。

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