佐藤さんは甘くないっ!

明日が月曜日でも、それほど憂鬱じゃない。

……だって今日はまだ佐藤さんと一緒に過ごせるんだから。


「佐藤さん、おはようございます。朝ですよー」

「…………しば……?」

「はい?」

「……なんで、おれのいえに、しばが……」

「寝惚けてるんですか?」


ぼんやりと目を開けたまま動かない佐藤さんからは、普段の威圧オーラは微塵も感じられない。

逆にここまで切り換えが激しくて疲れないのだろうか。

朝ごはんは昨日のお味噌汁に、炊き立てごはん、卵焼き、炒めたウインナー、とかなり質素だが許して欲しい。

佐藤さんは和食派じゃないかもしれないと思ったけど、今日だけは我慢してくれるかな。


「……んん…しばがいる……ゆめか……」

「ちょ、さ、佐藤さんっ!」


するりと甘えた猫のように腕を伸ばした佐藤さんは、ベッドに座っていたわたしの腰を引き寄せてきつく抱きしめた。

嬉しそうに頬を緩めて、もう一度眠ろうとする佐藤さんが可愛すぎる。

……いつもの意地悪な迫り方より、こっちの素直で可愛い方が照れるかもしれない。

自然と顔に熱が集まり赤くなっていくのが嫌でも解る。

なのに当の本人といったら、幸せそうに眠っているからタチが悪い。

ここまで眠そうにしているし起こしてしまうのも悪いだろうか…。

昨日はそんなに夜更かししなかったんだけどなぁ。

もしかして佐藤さん、意外と朝弱いとか?

回された腕から伝わる熱量が心地良い。

カーテンの間から差し込む柔らかな日差しが、睡魔を再び呼び寄せるようだった。
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