Caught by …
 私の青春というものは、何不自由なく、ありきたりでつまらない、縛られた自由。

 私が彼に惹かれるのは、なんとなく、彼こそが自由そのもののように見えているから。


 今日も、冬の風を頬に受けて歩く。

 マフラーに首をすぼめて、目で『迷子の子猫』を探す。

 そして、見つける。

 雪のような髪と、冷たい瞳。

 踊る心と、くすぐられる胸。

 年甲斐もなく赤らむ頬は、友人達にも家族にも見せられない。

 たぶん、きっと、彼は私の中の特別。

 女の子が幻想する、白馬の王子さま。

 すれ違う時、わざと目をそらして歩く私は、なんだか滑稽。

 彼の目に私が一瞬でも写れば良いのに、と願う私は絶望的。

 今日も、いつもと変わらず、すれ違って終わり。

 たぶん、きっと、これは変わらない。

 変わりっこない。
< 2 / 150 >

この作品をシェア

pagetop