黄昏に香る音色 2
足取り
「和也!」

学校に登校すると、直樹はすぐに、和也を探した。

教室にはいなかった。

あまり人が来ない、理科室とかがある南館に通じる…渡り廊下にいた。

一人、物思いにふける和也に、直樹は近づいた。

「おはよう!こんなところにいたのか」

和也は、直樹に気づき、

「ああ…おはよう…」

少し目を伏せた。

直樹は、和也のいつもと違う雰囲気に気づいた。

「どうかしたのか?」

和也は驚き、直樹を見た。

しかし、あまりにも真っ直ぐな瞳に、すぐに、目をそらした。

「別に…何でもない」

そんな台詞で、直樹が納得するはずがない。

和也は笑顔をつくり、

「ちょっと昨日…眠れなくてな」

「大丈夫か?何か、心配事とかあるのか?」

和也は首を横に振り、

「単に、寝苦しかっただけだ…ありがとう」

「…モデルの仕事は、きついんじゃないのか?あまり無理するなよ」

「ああ…」

和也は目をつぶり、直樹のやさしさを噛み締めた。

目を開けると、直樹を見、

「お前。何か話があるんじゃないのか」

直樹は照れくさそうに、頭をかき、

「お前に、相談したいことがあるんだ…」
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