黄昏に香る音色 2
再会の黄昏
「今、あまり悪い噂を広げるべきではない」

何もない薄暗い部屋。

最小限の明かりの中…ティアはいた。

隣に立つ、体格のよい男。

部屋の真ん中に置かれたディスクの上に置かれた、パソコンの画面に、KKの文字が輝いていた。

「なぜだ」

男はティアにきいた。

「もう世界中で話題に上がっているわ。こちらから、仕掛ける必要もない」

「勝手に騒いでくれると…」

ティアはディスクに近づき、キーボードを叩いた。

アクセスを見て、苦笑する。

「音楽とは、不思議なものね…こんな形のないものに群がる」

「音楽は原始から、人々の生活とともにある」

ティアはパソコンを切る。

「KKはどうしてる?」

ティアは、タバコを取り出すと、火をつけた。

男の質問に、肩をすくね、

「部屋よ。多分…サックスを吹いてるわ」

「寝る時もか…」

「KKとは…サックスのそのものの名前かと…思う時があるわ。吹いてる人間は…飾りのようなもの」

ティアはタバコを吹かし、

「同じ演奏でも、まったく違って聴こえる…。狂わすようなときもあり、どうでもいいときもある」

ティアは壁にもたれ、

「いつでも狂う訳じゃない」




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