黄昏に香る音色 2
廊下の先から、微かに漏れる音。

ティアは、ふっと足を止めると、音の方に向かった。

KKの部屋。

完全防音のはずなのに…。

ティアは、そっとドアに耳を近づけた。

漏れる音の素晴らしさに、ティアは涙した。

これは狂っていても、

綺麗な音だ。

そして、

悲しい音だ。

KKの音に、皆が魅力されるけど、誰でも狂う訳ではない。

この音の深さと、絶望を感じることができる…

心に傷を持つ者だけが、シンクロするのだ。

「そうよね…こんな世界、なくなればいいのよ。こんな悲しい世界なんて…」

ティアは、心の奥にある感情が刺激された。

「壊したらいい…」

ドアにすがりながら、ティアは泣き崩れていた。


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