黄昏に香る音色 2
営業時間が終わり、お客が帰った後。

店内には、もう関係者しかいなかった。

まだ店内にいた香里奈に、里美は言った。

「明日学校でしょ。早く寝なさい」

「はあい」

香里奈は、カウンターから立ち上がった。

「和恵はもう寝てるの?」

明日香の問いかけに、

「とっくに寝てる」

ステージ横の扉を開けようと、ノブを握った香里奈は、振り返った。

「ママ!」

「何?」

香里奈は少し思い悩むと、

「何でもない…おやすみなさい」

「おやすみ」

香里奈は里美たちにも、挨拶すると、扉を開け、中に消えていった。
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