黄昏に香る音色 2
「里美おばさん!」

里美が病院から帰ると…営業をしていない、暗い店内に、

香里奈と直樹がいた。

里美が、扉を開けた瞬間、香里奈が駆け寄ってきた。

「志乃ちゃん…大丈夫なの?」

里美は頷き、

「しばらく休んだら、元気になると思うわ」

「よかった…」

香里奈は、ほおっと胸を撫で下ろした。

里美は直樹を見、

「飯田くん。遅くまでいてくれて、ありがとうね。もう大丈夫だから」

直樹はその言葉をきき、素直に頭を下げ、

「じゃ…帰ります」

店を出ようとする直樹を、香里奈が止めた。

「飯田くん!」

直樹は振り返った。

「今日はごめんなさい」

直樹は、頭を下げる香里奈に笑いかける。

「謝ることはないよ」

直樹は、扉を開けた。

「じゃあ…失礼しました。おやすみなさい」

「おやすみなさい」

もう一度、香里奈に頭を下げると、直樹は帰ってしまった。


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