黄昏に香る音色 2
学校から、電車を乗り継ぎ、

イエローホールのある地下鉄の駅で降りた。

地上にでると、ものすごい人並みに、香里奈は驚いた。

こんな人混み…。

夏の花火大会以外、知らなかった。

「こっちだ」

直樹が示す方は、会場の裏口だった。

人混みは、香里奈を知らない。

ネットで、流出した写真は別人だったし、

直樹と二人でいる為、カップルで、コンサートを見に来たようにしか見えない。

広い会場の周りを探し回り、やっと香里奈たちは、
関係者用の通用口を見つけた。

二人は頷き合い、

通用口に近づく。

しかし、ガードマンが二人を止めた。

「何の用だ?」

「えっと、ぼくたちは…」

直樹が、何か言おうとしたとき、ガードマンは、香里奈の顔を覗き込んだ。

胸のポケットから、1枚の写真を取り出し、

香里奈の顔と、交互に見比べる。

香里奈が写真を見ると、

見たことのない自分の写真だった。

「失礼しました。どうぞお入りください」

香里奈は、ガードマンに促される。

ついていこうとする直樹は、止められた。

「ここからは、関係者以外は立ち入り禁止です」

冷たい言葉だった。


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