黄昏に香る音色 2
「いい歌手…いい女になるな…あいつは」

サミーは、志乃の様子を袖から眺めていた。

「志乃…」

後ろから声がして、サミーが振り返ると、

大輔たちがいた。

ステージから、香里奈が降りてきた。

「?」

香里奈は、大輔の顔は知っていた。

頭を下げた。

「香里奈…」

大輔は、香里奈の姿を認めた。

そのまま、通路へと向かおうとする香里奈に、

大輔は声をかけた。

「さっき、明日香さんに会ったよ。啓介さんの様子がおかしかったから、伝えておいた」

「パパの?」

香里奈は、大輔に振り返った。

大輔は頷き、

「急いだ方がいい」

「明日香と啓介に何かあったのか!」

単語だけで、サミーにはわかったらしい。

大輔は、サミーにも頷いた。

「香里奈!いくぞ」

香里奈を追い越し、

香里奈よりも慌てて走る。

「あっ、はい!」

訳がわからないまま、
香里奈も走った。

「パパ…ママ…」


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