黄昏に香る音色 2
暗闇を歩いてるような感覚が、体にべったりとはりついていた。

こういう時は、気分転換でもできたらいいんだけど…。


直樹には、そのすべがわからなかった。

あまりの暗闇は…

直樹に昔を思い出した。闇ばかりの世界…未来という光に導く者はもう…どこにもいなかった。

もともと、明るい性格ではない。

自分でわかってるから、明るくできた。

能天気。

と、いつも笑顔でいる直樹を、そう言うやつもいた。

ちがうよ。

そう思いながらも、笑顔は崩さなかった。

演劇部に入ったのも、笑顔に笑顔を重ねる為。

分厚い笑顔の仮面は、心の闇を隠してくれていたけど…。

もう…

その厚さは、限界まできていた。

重さに、仮面が剥がれ落ちた時…

直樹は自分でいられるのか

わからなかった。

そもそも、

自分とは一体…

何だ?
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