黄昏に香る音色 2
心は何?
朝の日差しが、頬に突き刺さった。

ひんやりした空気とは別に、朝の日差しの癖に、妙に眩しかった。

変わることのない日常。

生まれたばかりでも、年老いた人にも、平等に降り注ぐ癖に、感じ方がちがうのはなぜだ。

生まれてすぐに、生きる強さを強いられる自然界とは違い、しばらくは、揺りかごにいられる…生きる余裕がある人間。

本田淳は、せせら笑っていた。

行き交う生徒が、敦に挨拶をする。

先生という職業についたのは、夢を叶える為だ。

毎日夢を見てた。

かつての学生時代。

淳は、複数の生徒に囲まれ、いじめられていた。

あの頃は…。

今の夢は毎日、あの頃のクラスメイトに殴りかかること。

それだけだった。

優等生だった淳は…進学の為、世間でいい顔をする為、いい子を演じていた。

それが、将来の為と…。

だけど、

(今の俺はどうだ?)

後悔ばかりだ。

(あの時、なぜあいつらを…殺さなかった)

地元に、臨時教師として、赴任したのは、すべて…

過去の復讐の為だった。
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