黄昏に香る音色 2
優は、直樹を見つめた。

それは意志表示だった。

まずは、あたしを知ってほしいという…。

目的は達した。

優は直樹を見つめながら、屋上を後にした。


「誰だ?」

和也は、出ていく優の背中を見つめながら、里緒菜にきいた。

「知らないわ…」

里緒菜は、正面に立ち尽くしている直樹の背中を見ていた。

「向こうは、知ってるようだったけど…」

「多分…」

里緒菜は、直樹から視線を外し、

「隣のクラスの子…だと思う」

香里奈たちは、話に夢中で、今の出来事に気づいていない。

そんな香里奈の様子を見て、里緒菜はため息をついた。

そんな里緒菜を、心配そうに、和也が見つめていた。
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