黄昏に香る音色 2
「ケッ」

生徒を見てると、気分が悪くなってくる。

淳は、殴りたい衝動を抑えながら、廊下を歩いていた。

いきなり、目の前の階段から、優が駆け降りてきた。

ぶつかる距離ではなかったが、淳は大袈裟に、飛び退いた。

「き、気をつけろ!」

怒鳴る淳を、ゆうはちらっと見ると、軽く頭を下げ、そのまま通り過ぎていく。

「なんだ…あの女は…」

去っていく優の後ろ姿を眺め…怒りよりも、

涎が出そうになった。

見事なラインだった。

「人としては、最低だが…体だけは…」

いやらしく、笑った。

そんな淳の横を、風のようにすり抜けて、里緒菜が早歩きで、廊下を歩いていく。

「如月…」

淳は、里緒菜の栗色の髪がなびく姿を認め、毒づいた。

「金持ちで…綺麗で、頭がいい…」

淳は歯ぎしりをし、

「ああいう女こそ…壊したい」

そう呟いた。
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