黄昏に香る音色 2
「歴史はつねに、変わっていきます…現代の研究により、江戸時代…鎖国はしていなかったという説が有力になっています」

ゆうは教壇に立ち、少し余った時間に、

教科書では間に合わなくて、テストにはでない…

今の歴史の流れを説明していた。

「先生!でしたら…どうして、明治維新がおこったのですか?」

1人の生徒が手を上げた。

「黒船で、開国を迫られたんですよね。それで…幕府の対応が悪くって…」

「それだ!」

ゆうは、生徒を指差した。

「黒船…つまり武力行使だ」

ゆうは、黒板を叩いた。

「あの頃の日本は、何百年も戦がなく…武士といっても…戦った経験などない者ばかりだった」

ゆうは、生徒の間を歩き出す。

「だから、武力を怖れた。それも、見たことのない…最新兵器を持っていたから…」

ゆうは、生徒たちを見た。

「今の日本と同じだ」

ゆうは、言葉を続けた。

「あの頃の日本人は、外国を戦う為に、幕府を倒し…武力をつける道を選びました…。その結果、どうなった?」

ゆうは、1人の生徒にきいた。

「世界中を巻き込む戦争を起こし、多くの犠牲者をだしました」

優はこたえた。
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