黄昏に香る音色 2
こわれもの
里緒菜は、優の後を追った。

屋上からの階段を降り、3階で、右に曲がる。

気持ち悪い教師の横をすり抜け、さらに左に曲がると、

2年の教室が並んでいる。

2年C組。

曲がった里緒菜の目に、教室に入る優の姿が、確認できた。

一旦、立ち止まり、里緒菜は息を整えると、

C組に向かって歩き出そうとする。

「如月!」

誰かが、里緒菜の肩をつかんだ。

振り返ると、和也がいた。

「どうした?何かあったのか?」

「別に…何もないわ」

里緒菜は、和也の手を振り解くと、歩き出し、

C組ではなく、自分の教室であるB組に入った。

心配げに見ている和也のそばに、直樹が来た。

「どうした?」

「さあな…」

和也も、教室へと戻っていく。

「ナオくん」

香里奈たちも追いついた。

「里緒菜も、藤木くんも…いきなり、飛び出すから…」

香里奈の言葉に、直樹は首を傾げ、

「俺にも、わからない…」

和也が、入った教室のドアをただ…見つめていた。
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