黄昏に香る音色 2
「愛…される…?」

「はい…」

優は、ゆっくりと

上目遣いで、

直樹を見た。

「人は…愛されることで、自由になります」

優は、そっと握る手に…力を込めた。

「あたしなら…あなたを自由にできる…」

優は直樹の胸に、顔をうずめようと、

「あたしは、あなたを愛してるから…」



「ふざけるな!」

「きゃっ!」

直樹は、優の手を振りほどいた。

「不自由だと!勝手に決めるな!」

直樹は、優から離れた。

「俺は、今!幸せなんだ!」

直樹は叫んだ。

「今、初めて話すきみに、何がわかる!」

激しく息をする直樹を見て、

「無理してる…」

「な」

「愛してるから、わかるの。今も無理してる」

「していない!」

直樹は取り乱し、

「今、会ったばかりのきみが…愛してるだって!そんな言葉、なぜ言えるんだ」

「あなたなら、わかるはず」

優は冷静に、直樹を見つめている。

「あなたなら…あたしの気持ちが」

直樹は、言葉を失った。

「わかるはず」
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