黄昏に香る音色 2
「香里奈は元気か?」

光太郎は唐突にきいた。

「ええ…元気です」

光太郎は微笑み、

「あの子は、普通とはちがうが…その自覚がない」

「それが…彼女のいいところでもあります」




「香里奈を助けてやってくれ…頼む…」

光太郎の言葉は…ちょっと前までには、考えられないことだった。

光太郎も…変わってきている。

和也は、深々と頭を下げると、きっぱりと言った。

「速水は、親友の彼女であり…俺の親戚であり、もう大切な仲間です」

扉を開けると、

「頼まれなくても、大丈夫です」




和也が去った会長室の中…窓際で、光太郎はフッと笑った。

「あいつも…いつのまにか…」

光太郎は振り返り、扉を見た。

「男の顔になっておるわ」

光太郎はイスに座り、嬉しそうに笑った。
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