黄昏に香る音色 2
「み、見られた…」

ノートパソコンに、むかつく生徒を打ち込んでいた淳。

その様子を、美奈子に見られてから、

淳は、不安な日々が続いていた。

授業がない時間は、ちゃんと確認して、開いてる教室にいた。

今は、音楽室。


他の先生や、教育委員会に、チクられるのではないか…。

教師をクビ…。

クビが怖いというより…
ごちゃごちゃ、偉そうに馬鹿達に注意されるのが、耐えられなかった。

授業が始まるベルが鳴っても、淳は震えながら、なかなか音楽室を、出なかった。

やがて…

次の授業の為、音楽室のドアを開けた香里奈と、淳は目が合った。

「の、ノックもせずに、開けるな!」

淳は絶叫した。

「すいません」

思わず、謝る香里奈を押しのけて、淳は音楽室を出た。

「香里奈。どうした?」

恵美と、祥子も顔を出した。

「どけえ!」

淳は、恵美たちをも、片手で払いながら、パソコンを抱え、廊下を走っていく。

「何だ?あの男は?」

恵美は、淳の後ろ姿を睨んだ。
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