黄昏に香る音色 2
「わかりにくい男…」

優は和也を見、

「いや…理解しがたいわ」

和也は無言で、優を見ていた。

優は、まくし立てる。

「あんな女々しく、好きな男に振られ…挙げ句の果てに、自分の親友にとられた癖に、平気なふりをして」

優は大笑いし、

「ハハハ!馬鹿じゃないの!」

吐き捨てるように言った。

「お前に…」

和也は、ゆっくりと言葉を発する。

「何がわかる…あいつのことが…」

和也は、優を睨む。

「絶対わからない…だから…」

和也は、優に背を向けた。

「2度と、俺たちの前に近付くな!」

と言うと、歩きだした。

こんな女にかまっている暇はない。

とるに足らない女だ。

「ちょっと待ちなさい!」

優の言葉も聞かない。


去っていく和也に、優はむかつき、叫んだ。

「本人に好きとも言えない…チキン野郎が!…格好つけるんじゃねえよ!」

それを聞いて、和也は足を止めた。

「好きって言える度胸は、凄いよ」

和也は、振り返る。

「だけど、それは…告白する本人だけだ。相手が、望んでなかったら…するべきじゃない」
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