黄昏に香る音色 2
昼休み。

香里奈や直樹たちは、いつもの屋上に向かう。

その後を追おうと、廊下を曲がり、階段を上がろうとした優の前に、

和也が姿を現した。

驚く優に、和也は笑いかけ、

「高木優さんですね?ちょっと…話がある」

和也は、階段を降りると、優を促し、歩き出す。

優は、フンと鼻を鳴らし、
和也の後をついていく。


ついた場所は、焼却炉の近くだった。

和也は足を止め、

「どうして…如月に絡む?」
振り返った。

「如月〜?」

優は、鼻で笑い、

「何の話かしら?」

とぼける優の態度に、和也は気づいた。

「如月じゃないな。速水?…でも…ない」

和也は、優の瞳を探りながら、


「直樹か…」

優を睨んだ。

優はニヤリと笑い、

「そうよ」




「どうして…」

和也の呟きのような疑問に、優は叫んだ。

「好きだからよ」

そう言うと、優は笑い、

「あんたは、どうなのよ?」

今度は、優が和也にきいた。

和也はフッと笑い、

「ああ…好きさ。あいつがな」
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