黄昏に香る音色 2
里緒菜は息を飲み、目をつぶり、

覚悟した。

「如月!」

淳と、里緒菜の間に、

黒い影が飛び込んできた。

影は、里緒菜を抱きしめた。

淳の包丁が、影の背中に、突き刺さった。

「な…」

驚き、思わず突き刺した包丁を離した淳…。


「よかった…間に合った…」

「藤木くん…」

里緒菜を庇ったのは、

和也だった。


出入り口から、警察が、何人も飛び込んでくる。

「いたぞ!」

「捕らえろ!」

淳は慌てて、スタンガンを取り出そうとするが、間に合わなかった。

淳は、警官に取り押さえられた。

「どうして…」

和也に、抱きしめられながら、里緒菜は呟いた…。

「どうしてよ!」

里緒菜は泣きながら、叫んだ。

和也は微笑み、

「理由…理由なんてないよ…考えるな」

和也は、里緒菜を抱きしめながら、

崩れて落ちていく。

「お前に…怪我がなくてよかった…」

和也は、そのまま、

気を失った。

「藤木くん!」

里緒菜は、和也に守られながら、絶叫した。

< 385 / 539 >

この作品をシェア

pagetop