黄昏に香る音色 2
明日香は苦笑し、

「で、サミーどうしたの?いきなり電話してきて」

「明日香…」

冗談を言いながらも、サミーの電話の声のトーンが、さっきからおかしいことに、
明日香は気づいていた。

「知ってるか…明日香」

「何を…」


「音のドラッグだ」

少し間を開けて、

明日香はこたえる。

「知ってるわ」

明日香は前のベンチに、大人しく座っている和恵を見た。

速水和恵。

香里奈の妹だ。

「まるで、麻薬のような音…西海岸辺りを、中心にして、中毒患者が続出…」

「その音を聴いたものは…快楽から、やがて狂ってしまう…」

「薬ではないから、警察も取り締まれない…」


「明日香…だったら、そいつが、そいつらが…何て言われてるか、知ってるのか?」


明日香は目をつぶり、静かにこたえた。

「知ってるわ」

「明日香…」




「KK…ダブルケイよ…」

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