黄昏に香る音色 2
音楽とともに
「おばさん!只今!」

ダブルケイの扉が、勢いよく開き…和恵が飛び込んでくる。

「お帰りなさい」

カウンターの中から、里美がこたえた。

「あっ!志乃お姉さん!いらっしゃいませ」

慌てて、二階に上がろうとした和恵は、カウンターに座る志乃に気付き、頭を下げた。

「お帰りなさい。和恵ちゃん」

志乃は、持っていたグラスを置いて、微笑みかけた。

和恵も微笑むと、ゆっくりと奥へ向かう。

「何か、飲む?」

里美の問いに、

「今はいい!」

和恵は首を横に振ると、ステージ横の扉から、2階に上がる。

ドタドタと途中まで、階段を上り、またドタドタと下りてくる。

「おばさん!」

店に顔を出し、

「後で、ドラム借りていい?」

「いいわよ」

里美は、少し呆れながらもOKした。

「やったー!」

と両手を上げ、

和恵は階段を走って、上がっていく。




その様子を眺めていた志乃は、再びグラスを取った。

「ドラムやってるの?」

里美はため息をつき、

「誰の影響か知らないけど…最近、営業前によく叩いているわ」

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