黄昏に香る音色 2
アフリカから、奴隷として連れてこられた黒人が、創った音楽…ジャズ。

ジャズは、ドラムを創った。

ギターやピアノ…他のすべての管楽器は、クラシックからの引用だ。

ドラムだけが…いや、すべての打楽器が、

自然とストリートから、生まれたのだ。


大地の鼓動。

ドラムがなかったら…ロックは、生まれなかっただろう。

リズムに乗って、言葉を紡ぐ…ラップ。

すべての今の音のビジネスの…金儲けの音楽のもとが、この地にある。

彼らに、お金が入ることはない。


多くのジャズマンは当時…ほんの少しのギャラを貰うだけで…

レコードから、今CDとして何度も売られ…名盤として紹介されようが、

彼らに、お金は入らない。

だけど、彼らは笑いながら、どこかでライブをこなす。

「だから…あたしは、ジャズや、ブラックミュージックが好きなの」

恵子は、コーヒーを入れながら、明日香に語ってくれた。

「彼らはステージではいつも、真剣で…辛くて、悲しくても、ステージでは決して…見せなかった。お客さんは、音楽を、聴きに来てるんだから…」

明日香の目の前に広がる土地…人々の笑顔。

すべては、繋がってるのだ。

あたしはそこに、

切なく淡いメロディを捧げよう。

なぜなら…それこそ、

人だから。

あたし自身だから。
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