黄昏に香る音色 2
言葉=音楽
「まったく…こんな歳になってから…こんな所まで、来るとは思わなかった」

ジープを運転しながら、啓介がぼやいた。

アフリカのとある村まで、何もない道を走っていた。

荷物は、食料と水以外、

トランペットとサックスだけ。


「文句を言わない」

明日香は、日除けに帽子を被りながら、

地図を見ていた。

もう5時間は走っている。

サバンナという草原の世界が…明日香には、とても感慨深かった。

(ここで、生まれたんだ)

やっと、村が見えた。

明日香と啓介は、

赤十字や、ボランティア団体と一緒に、薬や食料を届けながら、

現地の人々と、音楽で触れ合う活動をしていた。

「まるで…昔のジャズマンだな。楽器だけ持って」

啓介たちは、ジープから降りた。

「いいじゃない」

「でも…ジャズマンは、アメリカだけだぜ」

「いいの!あたしたちは、音楽の伝道師なんだから」


村にいくと、

物珍し気に、子供たちが近づいてくる。

明日香の目に、村の軒先にある…太鼓が飛び込んでくる。


この大陸には、音楽が息づいている。

トーキングドラム。

昔、アフリカには、文字が必要なかった。

ドラムを鳴らし、遠くの人々と、音で会話する。

音楽は、言葉なのだ。

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