天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
「装着」

サーシャの体が一回転した。

風が切る音とともに、魔物の体が両断された。

サーシャの右手に装着されたドラゴンキラーが、魔物の血で染まる。

サーシャは残る3匹を、目で威嚇しながら、ドラゴンキラーを軽く一振りすると、

血は綺麗にとれた。

ゾクゾクする程、美しいサーシャの仕草に、魔物達は後退る。

奈津子の亡骸を抱き締めながら、唖然としている僕に、

サーシャはチラッと一瞥をくれると、残る3匹に向って構える。

「参る」

サーシャは腰を少し下ろし、力を溜めると、

一瞬にして風になる。

「せめて、あやつだけでも連れていかねば」

3匹は、空に飛び立つ。

「無空陣」

サーシャは3匹より、速く上昇気流を起こすと、空に飛び立つ。

自分達より、上空にいるサーシャに3匹は驚き、恐れを感じた。

「我々…天空の騎士団より…」

「速い」

呆気にとられる魔物に向かって、ドラゴンキラーを下に向けたサーシャが落ちてくる。

「しかし!」

一匹が翼を広げ、上昇する。

「我らにも、意地がある」

サーシャのドラゴンキラーが、魔物の胸に突き刺さる。

だが、魔物は刺されたまま、サーシャの両肩を掴んだ。
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