天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
綾子はすぐに、体をサラの方に向けると、右手から電撃を放つ。

綾子の本能が、危険を告げていた。迷う前に、攻撃しろと…。


しかし、サラは目をつぶり、鼻を鳴らした。

「我に…こんな攻撃など、笑止」

綾子が放った電撃は、すべてサラの角に吸収された。


「だったら!」

今度は、手のひらから火の玉を放った。

しかし、サラは片手で火の玉を払った。

「テラとは…こんなものか。これで、よく…女神を名乗れる」

サラは、一歩前に出た。それだけで、全身から放たれる闘気が、綾子を吹き飛ばした。



「綾子!」

走りよろうとする僕を、ギラは丸太のような腕で、前を塞いだ。


「どうやら…テラは、自分の属性も戦い方も、知らぬようだな。ただ魔力を使うだけの…ガキか…」

ギラは、肩をすくめた。

「綾子!」

ギラが立ちふさがっている為、そばにいけない。

(だったら…)

僕は、チェンジ・ザ・ハートを銃へと変えた。バスターモードだ。

引き金を弾こうとした僕は、突然後方に、吹っ飛んだ。

何か見えない塊が、僕に当たったのだ。

ギラは、フッと笑った。


「な…なんだ……どうなって…」

また背中から、地面に激突した僕は、原発の上空から、ゆっくりと降下してくる人物を確認した。

いや、人ではない。

雷雲から落ちる雷を、三本の角が吸収しながら、天から降下してくる魔物。


その魔物も、僕は知っていた。

「バイラ…」

ギラの横に、着地したバイラは、ゆっくりとその精悍な顔を、僕に向けた。

「久しいな…赤の王よ…」


僕はよろけながらも、立ち上がった。

「バイラ!」

アルテミアが苦々しく、叫んだ。


ギラ、サラ…そして、バイラという…かつて、アルテミアのもとに集った…天空の騎士団。

翼ある…すべての魔物を傘下に治めた騎士団のトップの三魔神。

彼らが、実世界に現れたのだ。
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