天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
「それにしても…」

バイラは、僕にじっと見ると…微笑んだ。

バイラの登場により、原発を覆う雷雲はさらに、黒さを増した。

「相変わらず…甘い」

バイラは、僕の心臓の部分についた拳の跡と、ピアスを見ると…首を軽く振り、僕から顔を背けた。

そして、視線を綾子に移すと、

「あれが、テラ…」

鼻で笑い、

「ただのガキか…」

少しがっかりしたように言うと、ゆっくりと歩きだすバイラ。

「待て」

僕は、バスターモードを構えなおす。

巨大な銃身が、バイラの背中をとらえた。

「何をする気だ!」

僕は引き金に、指をかけながら、バイラの背中を睨んだ。

僕の問いに、バイラは足を止めると、振り返らずにこたえた。

「どんな小さな芽でも…我らの障害になりそうなものは…排除する!それが…」

バイラはゆっくりと、横顔を僕に向け、

「魔王ライの意志だ」



「ライ」

その名に、アルテミアが反応した。

ギラは静観している。



「や、やらすか!」

僕は引き金を弾いた。

炎と雷鳴の束が、光となり、一直線にバイラに向かう。

バイラは右手を、光線に向け、

「バイラブレイク!」

雷撃を放った。

光線と雷撃は激突すると…一瞬で消えた。相殺されたのだ。

「な!」

唖然とする僕の真後ろに、ギラが移動した。

振り向こうとしたが、前にいるバイラが、右手を僕に向けた。

一瞬の迷いが、命取りになる。それが、戦いだ。

「ギラ…」
「バイラ…」

僕はバスターモードを、どちらに向けていいのかで、判断が遅れた。

「ブレイク!」

前方と後方から、僕は挟まれるように、雷撃を食らった。


「うわああああああっ!」

心臓へのダメージが抜け切っていないときに、魔神の攻撃を、まともに受けた僕は、一瞬にして、

視界を失った。



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