天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
バイラが首筋から、指を抜いた瞬間、


綾子は絶叫を上げた。

その絶叫は…原発に残っていた進化した者達を刺激した。





反対側にいた美奈子は、一瞬ビクッと体を震わせた。


「ついに……」

マスターは、荒れ狂う雷雲を見つめた。


三機あった原発は、すべてが稼働停止状態になっていた。

原発が止まることなど、あり得ない。

異常を察知し、原子力発電所に向かった特務隊は、発電所の場所を確定することが、できなかった。

日の丸電気の本社から、派遣された社員達も…自らの会社の原発の位置を確認できなかった。


「げ、発電所が……あるところにありません!」

本社に電話した社員は、ナビで位置関係を何度も、確認したが、そこになかった。

真っ直ぐ走れば…原発に着く一本道を走っているが……ある空間を通り越して、他府県まで行ってしまった。


「どうなっている?」

救援に来た自衛隊のヘリコプターも、あるべき森の上空を、飛び回っていた。

晴れ渡る晴天が、ヘリコプターの影を森の緑に、投影していた。


午後12時ちょうど…。


人々は、原発を見失っていた。

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