天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
「そ、そんな……あり得ない!」

サラと戦っている綾子は、あまりのレベルの差に、愕然としていた。

一応…女神だと名乗っておきながら、自分の攻撃がまったく通じなかった。


サラと同じく、雷撃を放っても、サラより威力も小さかった。


「なぜだ!」

自分の力のなさを認めたくない綾子は、あらゆる攻撃を繰り出す。

それらを敢えて避けず、まともにくらい続けるサラは、

綾子を弄びながら、綾子に話し掛けた。

「お前は…属性というものを知っているのか?」


サラの二本の角から、放たれる電流の網が、綾子の体を縛りながら、痺れさせる。

「きゃあああ!」

綾子が、悲鳴をあげる。


「お前のように…あらゆる力を、使いこなすことは、便利ではある。しかし!」

網は、がんじがらめに体に絡み付き、絞め上げていく。

「ある一定のレベルを超えた相手には、通用しない!つまり、我ら神レベルにはな!」


そういうと、サラはなぜか網を外した。

自由になった綾子は、激しく息をつきながらも、余裕のサラを睨んだ。


「属性?」

その意味が、綾子にはわからない。

「水は水の属性…火は、火と…固有の属性がある」

サラは、綾子の体を凝視した。

本当ならば、女神の名に恥じぬ力があるはずなのに、引き出せていない。


「残念だが…」

サラは右手を突き出し、とどめを刺そうとしたが、


いきなり、綾子の後ろに現れたバイラに、気付いた。

「引き出せば、いいではないか」

バイラはサラに向かって、笑うと、右手の指を揃え、


そのまま…綾子の首筋に差し込んだ。

「解放しろ!そして、溺れろ!力に」

バイラは、にやりと口元を緩めた。
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