天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
僕の手に生まれたものは、炎で創ったライフル銃だった。

僕は何度も、引き金をひいた。

無数の炎の玉が、魔物に命中し、

体の中に入ると同時に破裂し、内側から魔物を焼き尽くした。

「それが、君の特殊能力」

髪の乱れを手ぐしで整えながら、サーシャが近づいて来る。

(何をした?)

彼女の後方に、巨大な筒状の細長い穴があき、

魔物は穴の底で、ペチャンコに潰れていた。

「炎を物質化させ…あらゆる武器を、つくることができる。それも、ポイントを使うことがない。あなた自身の能力。そのような能力を持つ者は、純粋な人間では少ない」

サーシャは初めて、僕に笑いかけた。

「これが…僕の…力…」

自分の両手をまじまじと見つめたが、これといった変化はない。

「カードを見たらいい」

男の声で言われたけど、

僕は、興奮していたからなのか…その変化には気づかず、慌ててカードを、ポケットから取り出した。

「レベル…72!?」

昨日まで12だったのに、一気に…60も上がった。

「俺達が、レベル80。死に物狂いで、経験値を上げてね。あまり経験のない君が、今のレベルなら…すぐに追い越せるよ」

「え!」

僕はやっと、声の変化に気づいた。

顔を上げた僕の前に立つのは、先程助けてくれた男だった。
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