天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
「そうか…。挨拶が、まだだったね」

男は、僕に手を差し出した。

「俺の名前は、ロバート・ハイツ」

僕は慌てて、ロバートの手を握った。

「赤星浩一です」

ロバートはにこっと笑うと、

「君のことは知ってるよ。有名人だからね」

「有名人!?」

ロバートは握手を解くと、

僕の傍らで眠るように、亡くなっている奈津子の開いている目を、手でそっと閉じた。

「と言っても…防衛軍関係者の間だけだけど…それも、トップクラスの」

ロバートは、いきなり手袋をつけると、奈津子の身体を調べ出した。

訝しげに、僕は見ていたけど、ロバートは気にしない。

手際よく、奈津子の財布を見つけ出すと、カードを取り出した。

そして、ボタンを押した。

「これで、すぐに警察が来る」

ロバートは立ち上がり、僕を見ると、

「いこう」

ロバートは、上着の内ポケットから、自分のカードを取り出した。

「え?」

「もう時間がない。警察の事情聴取を受けてる場合じゃないからね」

ロバートはカードをしまうと同時に、

車に似た乗り物が召還された。

タイヤはないが、空中に50センチくらい浮いていた。

2人乗りで、軽自動車より、一回り小さかった。
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