天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
「母は死んだ……俺が、殺した」

そう言った瞬間、そばにいたカイオウとポセイドンの全身に鳥肌が立った。

「その意味が、わかるか?」

空牙の瞳が、赤く輝いた。


「ハハハハハハハハハハハハ………何?」

レイは、笑いを止めた。いや、止めたのではない。止めざる得なかったのだ。

レイの全身が、震え始めた。

空牙は、一歩前に出た。

「お前にも、同じ苦しみを味あわせてやる。未来永劫…の苦しみを!」

「空牙様!」

空牙を促した炎の魔神が、レイの前に滑り込んだ。

「何だ?」

空牙が、その魔神を睨んだ瞬間、魔神は破裂した。 

「き、貴様!」

レイの瞳が、赤く光ったのと同時に、レイは吹き飛ばされた。

空牙は、右手を突き出し、

「お前の力……貰うぞ」

レイの体から、魔力が漏れだし、空牙はそれを吸収する。

「お父様!」

デティーテェは城中に響くように、叫んだ。

「空牙が、裏切った!やつを殺せ!全魔神よ!空牙を…」

と言った瞬間、王の間の側面が、すべて吹き飛んだ。

「お父様…こいつら、弱すぎ」

城の天辺にある王の間。

その横で、黒き羽を広げて、浮かぶ…炎の女神ネーナ。

両手についた鋭い鉤爪が、魔神を串刺しにし、ネーナは流れる血を吸っていた。

「誰だ?こいつは…」

唖然とするデティーテェは、丸見えになった王の間から、城の周りを見回した。


数万はいた…レイの魔物達が、死骸となって、転がっていた。

空を雷雲が覆い、その下に、翼を広げて、浮かぶ…ギラとサラ。


魔物の死骸が燃えだした。その炎が、人の形をつくる……。それは、魔神…不動。

そして……。

「あり得ない…」

後退るデティーテェの後ろに、突然1人の女が立つ。

「!?」

デティーテェは振り返りながら、攻撃しょうとしたが、全身につららが突き刺さり、首を跳ねられた。


「この程度で…女神?」

ため息をつく…水の女神マリー。

空牙はフッと笑うと、右手を上げた。すると、レイや死骸と化した魔物達が浮き上がる。


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