天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
玉座の間を出て、複雑にのびている回廊を、リンネは歩いていた。



いつのまにか、回廊を抜け、城と離れを結ぶ渡り廊下にでてしまった。

かつて、ティアナが植えた花々が、年中美しい姿をさらしていた。

リンネは足を止め、一番近くにあった赤い薔薇を見つめた。

すぐに前を向き、歩こうとした時、離れの方から、サラが歩いてきた。

リンネは無表情で、歩きだした。

サラも、リンネを見てはいないように思えた。

二人の騎士団長は、渡り廊下の真ん中で、すれ違った。

お互いを見ることも、意識することもなく……。


華奢な細身の肢体を持つリンネと…筋肉質でがっしりした体躯を誇るサラ。

まったく違う二人。



彼女達は決して、振り返らない。

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