天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}

十字架の刻印

結界の中で、昼と夜しかない空。

雲もない。

そんな空を、人々は三百年見てきた。


そして、ついに運命の日は来た。

雷が、空に走ったのだ。それは、まるで空にヒビが入るかのようだった。

実際には、結界にヒビが入ったのだろう。

それを見た人類は…希望を捨てた。


その時から人々は、子供をつくらなくなった。





「リョウ!」

島の外れにある崖の近くの最先端の村。

十字架の岬から、一番離れていた。

崖から、リョウは海を眺めていた。

海は、見えるが…入ることはできない。

海岸線までしか、結界は張っていないのだ。

だから、リョウは近くにいても、海の香りも魚の味も知らなかった。


リョウ・カスバ。

14歳。

ラストチルドレンといわれる…最後の子供達の1人。

彼らは、15歳までは生きられない。


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