天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
「私は…アルテミア様亡き後、この剣をお守りしてきました。この剣を、あなた様以外に握らせるなど、もっての他!」


僕は、剣を抜いた。鞘から抜くように。

そして、剣を天に突き立てると、ライトニングソードは姿を変えた。

光り輝く純白の剣。

そこから放たれる輝きに、白髭の男は跪いた。

「これは…シャイニングソード!」


シャイニングソードに照らされて、僕は思い出した。

すべてを。 


「ここは…?」

僕は周りを見回し……そして、左手を確認した。

薬指に、指輪がない。

「ア、アルテミアは!アルテミアはどこにいる!」

僕は、気を探った。アルテミアを感じない。

それどころか…僕がいるところの近くに、数億の魔物の気配を察知した。

「どうなっている?」

剣を握り締め、飛ぼうとした僕の周りに、結界が張られていることに気付いた。

その結界を突破しょうとしたが、なぜか突破できない。

「なぜだ?」

シャイニングソードを突き刺そうとする僕に、

「無駄です」

白髭の男が言った。

僕はもう一度、その男を見た。

そして、目を見開いた。

「お前は!?」

白髭の男は、頭を下げ、

「直接、お会いするのは、初めてですな。我が名は、カイオウ…」


「カイオウ……水の騎士団長…」

思わず、構える僕に、

「赤の王……いや、赤星浩一よ。うぬは、この時空の流れから、外されています故…我を倒すことは、不可能です」


僕は、カイオウの言葉にはっとした。

先程の離れていくフレアと…リョウ。

(リョウ……リョウは、僕……?僕……だったのか?)


混乱している僕を見て、カイオウは話しだした。

「あなたの記憶は…三百年前のことです」


僕は、混乱している頭を押さえながら、カイオウを見た。

「……僕は、自分の世界から、戻ってきて…」


「戻った瞬間、あなたは…この世界に降りることなく、魔王に封印されたのです」


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