天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
先生の召還した精霊が、5人の魔法を鎮めている間も…ダラスは、立ち去った生徒の姿を忘れられなかった。

「お怪我は、ございませんでしたか?ダラスさん」

先生は事態を修復すると、廊下に立ちすくむダラスに駆け寄った。

「…ありがとうございます。私は、大丈夫です」

ダラスは、心配そうな先生に笑顔を返した。

「折角…来て頂いたのに、申し訳ございません」

頭を下げる先生に、ダラスは手を振って、

「頭を上げてください」





先生が、五人を職員室に連れていき、こっぴどく叱っている間…ダラスは考えていた。

歴戦の勇者として、戦い続けてきたダラスは、カードシステム…さらにその前の時代からの戦い方を知っている…数少ない戦士だった。

肉体の衰えとともに、現役を引退したダラスは、若い人々に精霊や魔法の使い方を、教える仕事をしていた。

ほとんどボランティアであるけど。



「あれは……物凄い力を隠してるわね」

ダラスの肩に、いつのまにかステラが乗っていた。

「お前も、そう感じたか…」

ダラスの契約した妖精であるステラは頷き、

「それも、かなりの力ね」

そして、身を震わした。


「何者なんだ?」

カードシステム崩壊後、人々はカードに頼らなくても、魔法を使えるようになったとはいえ……強大な魔力を得る為の対価や、妖精達との付き合い方が、わからない者が多く、

戦力的には、前よりは格段に落ちていた。


(しかし……我々の側に、赤星君がいるかぎり…魔王も迂濶なことはできまいて…)

ダラスは、少しの希望を持っていたが…やはり、不安はあった。

その為、人側にも強力な力を持った戦士がいるのだ。

ダラスは学校をまわりながら、才能ある若者を探していたのだ。

だが…。

今あった少女は、あまりにも強大で…ダラスが制御できる…自信が、百%はなかった。




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