天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
「な、何があった!?」


遺跡から数キロ離れているジャングルの中で、

天空の騎士団長ギラは、唖然としていた。

ジャングルの中に転がる…数百体の魔物の死体。


「誰が…こんなことを」

ギラは、倒れている魔物の死体を歩き回った。

これだけの魔物を倒すには、防衛軍の一個師団以上の戦力がいるはずだった。


「うぐぐうう…」

魔物の中に、一匹だけ息がある者がいた。

ギラは近づき、魔物の死体の山の中から、一番下にいた魔物を救い出した。丸太のような腕で、魔物をつまみ上げた。

「ギラ様…」

倒れている魔物達は、翼ある魔物が属する天空の騎士団の偵察隊だった。

直属の部下達の惨劇に、ギラは怒りが込み上げてきた。

その怒りを抑えながら、ギラは息がある魔物にきいた。

「何があった?」


助けだされた魔物は、驚くこと外傷がない。

ギラは死んでいる魔物達が、ほとんど血を流していないことに気付いていた。


「し、死神です。死神が……。あいつは…あの…」



それだけ言うと、魔物は突然…活動を停止した。


こと切れた魔物をつまみ上げながら、ギラは魔物の体をチェックした。

くまなく調べてみると、魔物の首の付け根に、何かを差し込んだ跡があった。

人差し指を差し込んだくらいの穴が、開いていた。

「刃物でも…魔力でもない。これは…」

ギラには、そんなことがでる者がいるなど、信じられなかった。 


「死神……?」

ギラは、そう呼ばれている者の名を、思い出そうとしていた。


1人だけ…頭に浮かぶ者がしたが、ギラは自ら否定した。

「あり得ん!あやつは、死んだはず…いや、生きてはいないはずだ」

ギラは、死んだ部下達に向かって、雷撃を放った。

一瞬にして、消滅する魔物達。

部下達の焼ける肉の匂いの中、ギラはジャングルの奥へと足を進めた。


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