天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
技を発動すると同時に、アルテミアの体が揺らいでいく。

「この体では、限界か…」

アルテミアは、倒れている僕を確認しながら、煙が拡散するように消えた。






少し意識を失っていたようだ。

ふらふらと立ち上がると、ピアスの中から、アルテミアが告げた。

「さっきのあたしを、瞬殺できるくらいでないと…魔王には勝てないぞ」

僕は驚き、

「そんなにレベルの差があるとは、思わない。僕は、先代の魔王レイを、倒してるんだよ」

立ち上がった僕の目の前に、またアルテミアが立っていた。

「レイとライでは、次元が違いすぎる」

アルテミアは風の如く間合いを詰めると、飛び膝蹴りを僕の顔面にたたき込んだ。

「それに…レイは」

アルテミアは翼を広げ、天に舞い上がる。

「封印され、魔力を抑えられていた」

アルテミアの手に、ライトニングソードが握られた。

そして、一気に落下するように、僕に切り掛かる。

雷が落ちたが如く、瞬きよりも速く、アルテミアは僕を切り裂いた。

僕の体を左右に分けるように線が入ると、それから鮮血が噴水のように、飛び出した。


「アルテミア…」

アルテミアは本気だった。

そのまま…僕は二度目のダウンをくらい、意識を失った。



「赤星…」

アルテミアは、崩れ落ちた僕のそばに来て、屈み込むと、今付けた傷口を手でなぞった。



「お前しかいないんだ……魔王ライを倒せるのは」

アルテミアは手についた僕の血を見つめ、

「あたしに…力があれば…」

アルテミアは僕の顔を見つめ、悲しげに微笑んだ。

「赤星。お前には、感謝している。それ以上に…………………………………」





アルテミアは、意識を失っている僕の額に、口付けをした。


「あたしより…強くなれ。浩一…」


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