天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
カレンは、差し出しかけた腕をおさめた。

キッとジャスティンを睨み、

「一つ気になったのだけど、封印って何?」

「ほう」

睨むカレンを、ジャスティンは感心したように、頷くと、

「なるほど…封印は解けていないが、自力で力だけは解放してるのか?それは」

カレンの胸に光るペンダントを見つめ、

「ピュアハートのお陰か…。封印まで食らうのか。さすが、超A級のアイテムだけのことはある」



カレンは立ち上がり、スカートについた砂を払った。

「封印って何?」

カレンは、こたえないジャスティンに一歩近づき、プレッシャーを与える。

しかし、ジャスティンはどこ吹く風で、平然としながら、

「思い出さないなら、それがいい」

と言うと、カレンに背を向けた。

「ちょっと!」

カレンは驚き、ジャスティンの後を追おうとする。

「忘れ物だ」

ジャスティンは歩きながら、カレンの方を見ないで、

「あのケースには、アートウッド家の印が入っている」


「え?」

慌てて、カレンは波にさらわれようにしているケースを掴んだ。

手紙を置いていた布を取ると、中には、純白の鎧が入っていた。

「その日本の学生服では、戦えない。きちんとした服が必要だ」

「純白の鎧…」

思い出すのは、ティアナの姿だ。

「奥の小屋で、着替えよう」

ジャスティンは海岸から、真っ暗な森の中に、何の戸惑いもなく、普通に入っていった。

「ちょっと!待ちなさいよ!それよりも、封印って何よ!」

カレンはケースを閉め、取っ手を引っ掴むと、急いでジャスティンの後を追った。

速いと思っていたカレンの瞬歩より、普通に歩くジャスティンの方が速かった。

「どうして?」

人の中では、最強クラスだと自負していたカレンは、ジャスティンに驚いていた。

(上には上がいる)

先程の猫耳の化け物のそうだが、カレンは自分の弱さを実感していた。

養父母の敵を取る為にも、カレンはさらに強くならなければならないと、ひしひしと感じていた。

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