天空のエトランゼ{Spear Of Thunder}
「え?」

ただジャスティンの後ろをついて歩いていただけなのに、

いつのまにか、カレンは島を抜けていた。

反対側の崖まで出てきたカレンは、茂みを抜けて、突然足元がないことに気付いた。

ジャスティンは、空中を歩いていた。

「お、奥って…」

カレンは落ちる前に、ブラックカードを発動させた。

ジャスティンは前を向いたまま、プッと少しふき、

「奥の小屋と言っただけで、島の中とは言ってない」

「あのさあ~!」

カレンは浮遊魔法を使い、数メートル下は海という空中を歩き、ジャスティンにつかつかと近づこうとした時、

いきなり背筋に悪寒が走った。

「な!」

空中で凍り付いたカレンの頭を、ジャスティンが押さえつけ、腕力だけで浮遊魔法を無理矢理破ると、

二人は、そのまま海に直角に落ちた。



ジャスティンは海中に潜ると同時に、ブラックカードを発動させ、二人を包む結界を作り、さらに数キロテレポートした。


ジャスティン達が落ちた場所が一瞬で、凍り付いた。


「あれは…」

カレンは結界の中で、震えながらも、上空を通り過ぎていく2つの影を睨んだ。

「気を放つな」

ジャスティンも上空を見つめながら、

「あいつらには、かなわない」


「あ、あいつらは、一体…」

怒りと憎しみを噛み締めながら、カレンはすぐに通り過ぎた2つの影の後を追った。

「気にも掛けていないか…虫けらなど」 

ジャスティンは笑うと、ブラックカードを握り締めた。

「あいつらは…一体…」

2つの影の気を感じなくなっても、震えはカレンからしばらく消えなかった。


「女神だ…」

「女神!?」

思わずカレンの声が、上ずった。

「一体…どこへ…」


「奴らを倒せる者のところさ」

ジャスティンは、肩をすくめ、

「意地だな…。神々のプライド」

「神々のプライド…」

カレンは十字架のペンダントを握り締めると、呼吸を整え、震えを止めた。

そして、心に誓った。

(神を超える)

と、情けない自分に言い聞かすように。
< 1,192 / 1,566 >

この作品をシェア

pagetop